ストーカーは昼夜を問わない
「リオ!」
私もといカイン少年に向けられた光の玉は誰が見ても避けることは不可能だった。
カインの私を呼ぶ声が私の背後で聞こえる中、私は何故か至って平穏でいられた。
一度死んでいるせいか、“死”というものに対して全く恐怖心がない。
「バカめ!」
男の嘲笑が辺りに響く中、光の玉は私の身体に当たった。
当たったはずだった。
「.....なん、だと?」
光の玉は私の身体を木っ端みじんにするだけの威力はあったのだろう。
それだけの威力は感じられた。
でも、私の身体に当たる瞬間、その力はスゥッと掻き消えた。
消えたのだ、完全に。
これに驚いたのは男やシスター達だけじゃない。
なにを隠そう一番驚いているのはこの私だ!
「俺の魔法が消された、だと?お前、何者だ!?」
「何者かって?見てわからないですか?ここでお世話になってる子供ですよ。
目医者に行った方がいいんじゃないですか?
あぁ、それと一緒に頭の方も誰かに診てもらえばいい。
教会をぶち壊そうだなんて、この世界じゃあんたみたいなバカだけだと思いますよ?
あと、これは同情ですけどね。
さっきのヤツ、やたらと自信たっぷりに放ってたから、さぞかし自信作だったんでしょう?
でも、ボクみたいな子供に消されるなんて、所詮その程度...作り手であるあんたも所詮その程度しか作れない..あぁ、なんて可哀そうな領主サマなんでしょう。
あぁ、まだあった。
その髪型、誰を真似してるのか知りませんけど、かなり似合ってませんよ?
たとえるなら、精一杯背伸びして、蝶になろうとしてるゴキブ....むぐっ」
言いたいこと全部言ってやるつもりだった私の口を誰かの大きな掌が後ろから塞いだ。
誰だ?教会の隣に住んでるキム兄か?肉屋のおっちゃんか?
しかし、そのどちらでもなかった。
見上げた先にいたのは見知らぬお兄さん。
それも目の前にいる金髪男と同じ金髪で、なぜか髪型も似ていた。