太陽と月の行進曲
「ゆ、有言実行するんだね」
「お前も勇樹って呼べよ?」
「えー……」
「エーじゃない!!」
それからまた二人で笑った。
ひとしきり笑って、それからお互いに首を傾げて難しい顔をする。
「……にしても、制服で行くとこったら、限られてるよなぁ」
「いつもどうしてるの?」
「ん? 俺はいつも家帰って寝てる」
勇樹はわざとらしく難しい表情をつくり、聖美の制服姿を眺めた。
「さすがにスカートじゃ、二階の屋根を上って俺の部屋にってわけにもいかないだろうなぁ」
「それ。むり」
「お前、その片言の日本語どうにかならないか?」
片言で話をしているつもりもないのだが、急いで話しているつもりはある。
言葉を急ぐと、短い単語しか飛び出してこないのが聖美だ。
「……努力はしてる」
むぅっとふてくされた聖美に、勇樹は肩を竦める。
「そっか。ならいいんだ」
どうやら譲歩してくれたらしい、そう感じて聖美は少しほっとした。
とにかく考えるのを勇樹に任せてばかりいては申し訳ない。どこか暖かい場所で、大丈夫そうな場所を聖美も考えてみる。
考えてみなくても、聖美の行動範囲などは決まっているのだが、思い付いたその場所は、ちょうど良い場所のような気がした。
「うちにくる? きっと父さん、研究で書斎から出てこないよ」
勇樹は聖美の言葉に少なからず悩んでから、何かに思い当たったようだ。
「お前も勇樹って呼べよ?」
「えー……」
「エーじゃない!!」
それからまた二人で笑った。
ひとしきり笑って、それからお互いに首を傾げて難しい顔をする。
「……にしても、制服で行くとこったら、限られてるよなぁ」
「いつもどうしてるの?」
「ん? 俺はいつも家帰って寝てる」
勇樹はわざとらしく難しい表情をつくり、聖美の制服姿を眺めた。
「さすがにスカートじゃ、二階の屋根を上って俺の部屋にってわけにもいかないだろうなぁ」
「それ。むり」
「お前、その片言の日本語どうにかならないか?」
片言で話をしているつもりもないのだが、急いで話しているつもりはある。
言葉を急ぐと、短い単語しか飛び出してこないのが聖美だ。
「……努力はしてる」
むぅっとふてくされた聖美に、勇樹は肩を竦める。
「そっか。ならいいんだ」
どうやら譲歩してくれたらしい、そう感じて聖美は少しほっとした。
とにかく考えるのを勇樹に任せてばかりいては申し訳ない。どこか暖かい場所で、大丈夫そうな場所を聖美も考えてみる。
考えてみなくても、聖美の行動範囲などは決まっているのだが、思い付いたその場所は、ちょうど良い場所のような気がした。
「うちにくる? きっと父さん、研究で書斎から出てこないよ」
勇樹は聖美の言葉に少なからず悩んでから、何かに思い当たったようだ。