太陽と月の行進曲
聖美は笑いながら立ち上がり、カバンから財布を取り出すと勇樹を振り返った。

「じゃ、買物に行って来る」

「え。じゃ、俺もついてく。荷物持ちくらいにはなるだろ?」

「うん。ありがとう」

姉と父に手を振られ、コートを着て二人で外に出ると、また雪が舞っていた。

薄闇に綺麗な白が混じる。

「雪。まだ積もらないのかなぁ」

「うーん。多分、降ったりやんだりだろうなぁ」

勇気は紫色の空を眺めて苦笑した。

「ま、毎年クリスマスには少しは積もってるだろ」

「そうかもしれないね」

「大丈夫だって、ちゃんとホワイトクリスマスになるから」

聖美は歩きながら、勇樹の顔を見る。

「ホワイトクリスマスは好き?」

「ん? 別に? 寒いじゃん」

勇樹は冬でもコートではなくジャケットだ。寒いのも無理はないかもしれない。

「マフラー位すればいいのに」

「お前だってして無いじゃん?」

「これくらいなら、まだしないよ」

言うと、勇樹は笑って聖美を覗き込んだ。
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