太陽と月の行進曲
「ところでお前、クリスマスプレゼントは何がいい?」

「へ?」

「へ、じゃなくて。何が欲しいんだ?」

「なんで?」

勇樹は呆れた顔で聖美を見る。

「お前ね。普通、クリスマスには彼女にプレゼントあげるもんじゃないか?」

そう言えば、聖子も毎年誰かからプレゼントを貰っているらしい。

「そっか」

言われて考え込む。
クリスマスはいつも誕生日と一緒にされるので、クリスマス単独のプレゼントを考えたことは無かった。

「お前の誕生日、12月25日だっけ?」

「あ、うん」

「一緒でもいいか?」

それはいつもの事なので構わない。

逆に、別々にプレゼントをくれると言われるほうが恐縮してしまう。

「うん。別に構わないよ」

「で、何が欲しいんだ?」

ますます聖美は考え込む。

「そんな難しい問題か?」

「あんまり考えたこと無かったから」

「そうみたいだな……」

勇樹は溜め息をついて苦笑した。

「クリスマスまで何日かしかないんだから、ちゃんと考えておけよ」

「うーん……」

そう言われても、急に思い付くものではないし、父も姉も、聖美のプレゼントはいつもサプライズを狙っている。

くれる事は決定されているのでさほど驚かないが、中味は父の趣味だったり、姉の“似合うから”という押し付けだったりしているが、基本的に聖美はいつも受け身なので問題はない。
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