太陽と月の行進曲
聖美は首を傾げて勇樹を見つめる。

自分のプレゼントも考えないといけないようだが、その前に問題が出てきた。

誰かに誕生日プレゼントではない、クリスマスのプレゼントを貰うということは、自分も相手にクリスマスプレゼントをあげる立場になったということだ。

「勇樹君は何が欲しい?」

問われて勇樹はぽかんとした。それから腕を組んで難しい顔をする。

「スマホも持ってるし、ほしいゲームも今のところもないし……」

そんな高額なものを言われても困ってしまう。聖美は笑いながらも勇樹の呟きに驚いた。

「ゲームするんだ?」

勇樹は外で元気に遊んでいるイメージが強いので、家でゲームしている姿が思い浮かびにくい。

だが、今どきの高校生らしいと言えば高校生らしいのかもしれない。

「まぁ、するだろ普通」

お互いプレゼントに困りながら近所のスーパーに着いた。

置いてあったカートにカゴを入れて、聖美は勇樹を振り返る。

「親御さんに電話したほうがいいよ」

「あ?」

「夕飯食べてくんでしょう? 連絡しないと、用意されちゃうよ?」

「あ。そうか。お前、気が利くな」

「普通だよ」

そう言って、勇樹が電話している最中、入り口前にある広告を眺める。
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