太陽と月の行進曲
電話と聖美
*****
勇樹が帰ってしばらくして部屋に戻ると、さっそく奈々から電話がかかってきた。
来るとは思っていたので、これは予想の範囲内。結局奈々を無視して勇樹と学校をサボったのだからなおさらだ。
「もしもし」
『もしもし、聖美? あんた今日はどうしたのさ!』
勢いよくどうしたのと言われても、なんと答えていいのか迷ってしまって考える。
事実だけを言うのは簡単だが、それで奈々が納得するかは自信はない。
「うん。ちょっと」
『あの後、木村のおサルもいなくなったし、あんたはあんたで帰ってこないし、心配したじゃない!』
「うーん。ちょっと」
『ちょっとで解る訳ないでしょうが!!』
「一緒にサボったの」
聖美はベットに寝転びながら答える。
『あぅ、聖美が悪の道に……神様どうしましょう?』
訳のわからない祈りを捧げる奈々に、電話を押さえながら聖美は笑った。
『あんた、今、笑ったでしょう?』
怒ったような声に、ますます笑う。
「うん。ちょっと面白かった」
『あんたって子は。まったくもう!』
「でも、思ってたより、勇樹くんて悪い人じゃないよ」
スマホの向こうで、奈々の溜め息混じりの悪態が聞こえた。
勇樹が帰ってしばらくして部屋に戻ると、さっそく奈々から電話がかかってきた。
来るとは思っていたので、これは予想の範囲内。結局奈々を無視して勇樹と学校をサボったのだからなおさらだ。
「もしもし」
『もしもし、聖美? あんた今日はどうしたのさ!』
勢いよくどうしたのと言われても、なんと答えていいのか迷ってしまって考える。
事実だけを言うのは簡単だが、それで奈々が納得するかは自信はない。
「うん。ちょっと」
『あの後、木村のおサルもいなくなったし、あんたはあんたで帰ってこないし、心配したじゃない!』
「うーん。ちょっと」
『ちょっとで解る訳ないでしょうが!!』
「一緒にサボったの」
聖美はベットに寝転びながら答える。
『あぅ、聖美が悪の道に……神様どうしましょう?』
訳のわからない祈りを捧げる奈々に、電話を押さえながら聖美は笑った。
『あんた、今、笑ったでしょう?』
怒ったような声に、ますます笑う。
「うん。ちょっと面白かった」
『あんたって子は。まったくもう!』
「でも、思ってたより、勇樹くんて悪い人じゃないよ」
スマホの向こうで、奈々の溜め息混じりの悪態が聞こえた。