太陽と月の行進曲
「今朝、駅のホームで付き合おうって言われた」

『木村から!?』

「うん。つき合おうって。好きだとも言われた」

『ほぇ~』

奈々は驚いた声で呟く。

実は一番驚いたのは聖美だが、どこかそんなものなのかな……と、漠然と考えた自分もいて、何となく受け入れてしまったような気もした。

『あのおサルさんがねぇ』

「おサル顔でもないよ」

笑ながら言うと、奈々も少し笑った。

『いつまでも子供みたいな、お山の大将はおサルで十分よ』

そういう見方もあるかもしれない。聖美は奈々の言葉に同意する。

確かに、勇樹は騒がしい男子軍団の中のリーダー格みたいなものだ。

「にしても、男の子ってよく食べるんだねぇ」

『ん? 人それぞれじゃない?』

「勇樹君はよく食べたよ」

『あんた何、もう名前で呼んでるわけ?』

驚いたような声が聞こえて頷きかけ……。

「うん。そう呼べって言われたし」

『あの時には、全然解ってなかったのにねぇ……』

昼間のやり取りを思い出しながら、聖美は眉を寄せた。

「うん。あれじゃわかんないよ」

『まぁ、あんたじゃそうだろうね』

「ひどいな」

『事実でしょうが』

「そうなんだけど」

間違いないとも思う。

『まぁいいさ。あんたが楽しんでるなら、私は何も言わないよ』

聖美はその言葉に、また首を傾げて考えてみた。
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