太陽と月の行進曲
それから中学に上がり、これまた接点も無いままに過ごし、お互い高校生になった。

相手から告白されて、その相手とつき合ったこともある。

中には可愛い子もいたし、ミスコンに選ばれるような美人もいた。

ただ、何かが違うと感じていた。

そんな事を考えていた夏……。

放課後の教室で、聖美と奈々が話しているのを聞いた。

『姉ちゃんがね。クリスマスまでに彼氏を作れって』

『はぁ? 聖子さんがあんたに命令したの?』

『や。命令って言うか』

『あんたにしてみれば一緒でしょうが』

『うん。高校生活を満喫しなさいって言われた』

『あー……。で、何か反論したわけ?』

『ん? 笑った』

聖美はそういってふわりと笑う。

その笑顔を見て、カチリと胸の中で捜していたパズルのピースが見つかった気がした。

そっか、俺はあの笑顔が好きなんだ。

どこかすんなりと納得した。

思えば鈍い話だ。

桜の木の下で、その女の子には会っていた。
不思議そうな、大きな目をした女の子。

勇樹はずっとそれを求めていた。

つき合った女子も、みんな笑顔の可愛い女の子。そう思うと、廊下を走り出していた。

まず、当時つき合っていた小杉と別れ、教室にいる聖美を見ることが多くなっていく。
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