太陽と月の行進曲
勇樹の変化に、真っ先に気づいたのは要だった。

『お前、最近おかしいよ?』

顔を覗き込まれ、勇樹は聖美から視線を外す。

『おかしくねぇよ!』

『いや。絶対におかしいって。第一、小杉と別れて結構経つけど彼女を作らないし』

『なっ……!! お前、俺をどれだけ女好きだと思ってるんだ!?』

『めぇいっぱい? だって、お前、女好きでしょ』

『否定はしないな』

俯いて言う勇樹に、要はにじり寄った。

『聞いてやるから、要様に相談してみろ?』

ニヤニヤしている要をどつくと、その隣にいた関口も乗ってきた。

『なんだ。お前、好きな子でも出来たのか?』

クラス委員の冷静さで言われ、ちょっと視線を泳がせる。

『あ~……クリスマスデートしたい……』

と顔を覆うと、周りにどやどやと人が集まってきた。

勇樹のまわりいはお調子者が揃っているのが災いした。

『や。なんか、こんな勇樹。俺初めてみたけど?』

面白がる要をまたどつく。

『誰だよ。言ってみろよ』

『あ。解った』

女子の一人が手を叩いて、ちらっと勇樹を見た。

『加藤さんでしょ?』

ずばり当てられて顔を真っ赤にした。

それを見て、集まっていた野次馬は目を丸くする。
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