太陽と月の行進曲
「せっかくのクリスマスなのに? クラスでパーティー?」

「冬休みにいっぱい遊べばいいよ」

そう答えると、勇樹は“仕方ないなぁ”とでも言うように、しぶしぶ頷く。

「じゃ、決まりな! 要も来るか?」

関口のが要を見て声をかける。彼はは我に返ったように顔を上げた。

何やら考え込んでいたらしい。

「そうだなぁ。勇樹が行くなら行くしかないだろう?」

「なんだよそれ。どういう意味だよ」

「お目付け役がいないと、お前、あばれるっしょ?」

「なんだと、この……」

言い争いを始めた二人に構わずに、関口は奈々を見た。

「んじゃ、吉岡も来るって事でOK?」

「あ。うん。聖美が行くんなら……」

「OK! じゃ、24日19時に“ちぐさ”に集合ね!」

「え。ちょいまち、“ちぐさ”ってスナックじゃなかった?」

奈々の声に関口は頷く。

高校の近く、裏道にある喫茶店の名前だ。夜にはお酒も出すし、つまみも作る。

「あそこ俺の叔母がやってるんだ。若い子もたまには見たいって言うから場所提供してもらった。んじゃ、俺は他の奴にも声かけてくるから」

そう言って手を振る関口に、奈々も、小さくではあるが手を振っていた。

「つまりは、お酒も飲めるって事かな?」

奈々の呟きに、要は意地悪そうな顔でニヤニヤ笑う。

「お前、酒癖悪いから、飲むなよ?」

「飲まないわよ! 一生飲まないわよ!」
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