太陽と月の行進曲
***



聖美が勇樹といっしょに教室に着くと、クラスメートが一斉に二人を振り返ったので、思わず聖美はたじろいで一歩下がる。

「どうかした?」

「え。ううん」

勇樹に押し入れられる形で教室に入り、今度は一斉に拍手を受けた。

「お前! とうとう告ったんか!?」

クラス委員の関口が大声を出し、勇樹が少し照れたように頭をかく。

「へへ……」

男子は知っていることらしい。女子の半分はポカンとして、聖美と勇樹を見ている。

その中で、聖美の親友の奈々が動いた。

「ちょっと! ちょっとちょっと! どういうことさ!」

コートを教室の後ろに掛けに行った聖美を捕まえ、にじり寄る。

「あんた、あのお山のおサルとつき合ってんの?」

「なんか、そういう事になったみたい」

コートを脱いで掛ける聖美のおでこに、奈々の冷たい手がかかる。

「熱はないわね」

「ないと思う」

あったのなら、学校には来ないと思う。
聖美がぼんやりと考えていると、奈々が眉を寄せた。
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