太陽と月の行進曲
「うん。それで?」

一瞬の間が空いたことで、奈々のお節介は成りを潜めたようだ。

「……なんか、もう、いいかなって気がしてきた」

「なんで?」

「なんとなく……」

言葉を濁す奈々に、聖美が不思議そうに首をかしげる。

「奈々ちゃんらしくないよ?」

「うん。まぁ、本人の意思がしっかりあれば、いいかなって、ちょっと思ったんだ」

「なんだか、今日は以上に変だよ?」

いつものハキハキした奈々ではない。

「うん。いろいろと考えるところがあってね」

ちょっと寂しそうな奈々の表情に、聖美はこれ以上聞くのをやめた。

相談に乗ってほしいなら、先程聞いたときに言ってくるはずである。
だから、聖美は半ば強引に話題を替えることにした。

「この格好、勇樹くん喜ぶと思う?」

奈々はきょとんとして、聖美を上から下まで眺める。

「うん。これ以上ないくらいに可愛いと思うよ?」

「そう? 喜んでくれるかな? お姉ちゃんはバッチリって言うんだけど、お姉ちゃんは私に甘いから」

「うーん。そうだなぁ。聖子さんは激甘だしなぁ。でも大丈夫でしょ? あのおサルもあんたに甘いし」

奈々はいつもどおりの奈々に戻って、にかっと笑った。

「にしても、あんたとおサルじゃ、昼と夜くらい性格違うわよねぇ?」

「昼と夜?」
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