太陽と月の行進曲
いけないとは思いつつも、つい、衝立の陰に二人で隠れる。

「あれだろ? 性格全然違うじゃん?」

「そうそう。賭けは勇樹の一人勝ちって感じ?」

賭け………?

「ちょっと関口! あんたそういう事を賭けの対称にするなって、注意したじゃない!」

この声は、副委員長の松尾の声だ。

「いいじゃんか。勇樹がクリスマスまでに加藤とつき合えなかったら、勇樹の負けってことで終わってたんだし」

何? みんな何を言ってるの?

「そうそう。俺も、つき合えないって方に賭けてたし」

ちょっと待って? 賭け……。

「誰もつき合うほうに賭けてなかったしなぁ」

賭けをしていたの?
私と勇樹くんが付き合うかどうかで?
だから、勇樹くんは優しかったの?

聖美は、いつの間にか震えている自分に気がついた。

「そうそう。誰も勇樹と加藤がつき合うなんて思ってなかったって感じだしなぁ?」

「そうそう。すごいちぐはぐなカップルになっちまう。実際、不思議な感じだよなぁ」

あの優しさは嘘だったの? 賭けをしていたから、賭けに勝つために?

「ちょっとあんたたち!!」

奈々が衝立から飛び出していった。

「賭けってなによ? あんたたち木村と聖美のこと、賭けの対象にしてたって言うの!?」

やめて、奈々ちゃん。

「クリスマスまでって何よ!」

「え。だって、勇樹がクリスマスまでにつき合うって……」

関口の声が途中で途切れた。

「もしかして……加藤?」

顔を上げた先に、関口の驚いた顔があった。
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