太陽と月の行進曲
驚いて、それから気まずそうにそらされる関口の視線。

その顔を見た瞬間、聖美は『ちぐさ』を飛び出していた。

細道を抜けるとき、誰かとぶつかってお互いに弾き飛ばされる。

「聖美?」

聞きなれてきたその声にパッと顔をあげ、驚いた勇樹の顔が見えた。

それから聖美は唇を噛み締めて立ち上がる。

「え。ちょっ!? おい!」

掴んできたその手に、掴まれる前に逃げて走り出す。


息が出来ない。夜の街が涙にぼやける。

何故、私を選んだの?

どうして……どうして?

こんなに胸が張り裂けそうになるの──……?









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