太陽と月の行進曲
小首を傾げたままの聖美に、奈々は大きく息を吐いた。
呆れているらしいが見捨てるつもりはないようだ。
聖美を席に着かせて、説教モードの顔になる。
「いーい? あいつは鬼よ! 先生方にも反抗的だし、騒ぎの元凶だし」
「うん。それはいつも見てる」
同じクラスになったのだし、ほぼ毎日、勇樹は授業中に眠っては、教師に叱られているのを知っている。
「今の調子でいったら、あんた、奴の奴隷よ?」
その言葉に聖美は口をつぐんだ。
奴隷というのは極端だが、言いなりになりそうな予感も若干ある。
「私、頑張って反抗してみる」
ちょっと拳をにぎったところで、当の勇樹が何も気づいたようすもなく、能天気な笑みを浮かべて聖美の背後に現れた。
「なぁなぁ加藤。今日の帰り空いてる?」
「え? 空いてない」
聖美は頭上を見上げて、勇樹と目を合わせる。
今日の帰りは、と言うよりも、実はいつも聖美の放課後は空いていない。
家族分の夕飯の買出しをしているし、夕飯作りのほとんが聖美の日課だ。
「えぇぇえ? なんでぇ?」
「買い物があるから」
「それつき合うし! 一緒に帰ろう?」
勇樹の真剣な表情に、聖美も少しだけ困った顔をする。
「だって、木村くんのうちは、うちと逆方向じゃ?」
「駅まで一緒するくらい出来るだろ! 俺、今日部活ないし。予鈴鳴るからまたな!」
呆れているらしいが見捨てるつもりはないようだ。
聖美を席に着かせて、説教モードの顔になる。
「いーい? あいつは鬼よ! 先生方にも反抗的だし、騒ぎの元凶だし」
「うん。それはいつも見てる」
同じクラスになったのだし、ほぼ毎日、勇樹は授業中に眠っては、教師に叱られているのを知っている。
「今の調子でいったら、あんた、奴の奴隷よ?」
その言葉に聖美は口をつぐんだ。
奴隷というのは極端だが、言いなりになりそうな予感も若干ある。
「私、頑張って反抗してみる」
ちょっと拳をにぎったところで、当の勇樹が何も気づいたようすもなく、能天気な笑みを浮かべて聖美の背後に現れた。
「なぁなぁ加藤。今日の帰り空いてる?」
「え? 空いてない」
聖美は頭上を見上げて、勇樹と目を合わせる。
今日の帰りは、と言うよりも、実はいつも聖美の放課後は空いていない。
家族分の夕飯の買出しをしているし、夕飯作りのほとんが聖美の日課だ。
「えぇぇえ? なんでぇ?」
「買い物があるから」
「それつき合うし! 一緒に帰ろう?」
勇樹の真剣な表情に、聖美も少しだけ困った顔をする。
「だって、木村くんのうちは、うちと逆方向じゃ?」
「駅まで一緒するくらい出来るだろ! 俺、今日部活ないし。予鈴鳴るからまたな!」