雪降る夜に教えてよ。
「君の場合、見掛けじゃなくて、態度でしょ」

その通り。私は土橋さんにも言われたように、ふてぶてしくて態度デカイですから。

「マネージャー……言いたい放題ですね」

「きっと君も、人のこと言えないでしょ」

……ソウデスネ。

「ま、いいんですけど。お局様たちにバレなければ」

「関係ないでしょ。あの人たちは」

判っていますよ。関係ないのは。

だけど関係なくても“自分の興味本位”で首を突っ込んでくる人なんてたくさんいるでしょう。

現に私は、仕事をしているだけで小言を言われましたよ!!

「私が、面倒なんです」

「うん。それもまた真理だね」

なんか、調子狂う人だな~。

それぞれラーメンが来たので無言で食べつつ、支払いで一悶着あった後、店を出る。

桐生さんの言い分に、全面的に納得したわけじゃないんだけど、

「旨かった。いい店教えてもらったから、ここは“上司おごり”で済まさせてもらうね」

いろいろと、見透かされているような気がしないでもないんだけれど、結局おごってもらって、直接会議室に戻った。

「さて、終わらせますか」

急に真顔になった桐生さんに少し驚く。

そっか、仕事中と休憩中は態度が違うんだ。いつもヘラヘラしている訳じゃないんだな。

「じゃないと疲れるしね~」

落差の激しい、あっけらかんとした声にコケそうになった。

……私はすでに、あなたのその訳の判んない性格に疲れてきていますけれど。

とにかく猛烈にメールを読みつつ、返信を打ち込んで行く。




***



「んー……。結構ややこしい質問も来るんだなぁ。たまに意味不明だけど」

桐生さんはパソコンの画面を見つつ、呟いていた。

「それは仕方ありません。最近は素人さんでも、ちゃんと専門書を読んでいる人いますが。それが何かわかっているとは限りませんし。解りやすい質問してくる人はまだいい方です」

時々こんな会話をしながらも、二人とも手を止めずにメールの返信をしていく。

「君は無言で淡々としているね」

「笑いながら仕事して欲しいですか」

笑い声をあげながらキーボードを打っている人は、どうだろうか?

「それは怖いな。なんて言うか、人として?」

そうでしょうとも。

そんな人がいたら、私はお近づきにはなりたくないですよ。

そんな感じで時間はどんどん過ぎて行き、最後の返信を終わらせた時、思わず呟いた。
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