雪降る夜に教えてよ。
「……指?」
桐生さんは自分の手指を眺めて首を傾げた。
「母親似かな? 親父のはごつい。昔は嫌いだったよ。女の人みたいな手でしょ?」
私の手と合わせて微笑む。
大人と子供みたいに大きさが違う。女の人……と言うより、れっきとした男の人の手だと思うんだけど。
「小人ちゃんは小さいから」
「小人ちゃんって言わないで下さい!」
「今まで怒らなかったじゃん?」
「言わなかっただけです」
「あ。そう?」
桐生さんはそう言うと、合わせた手を組み替えてくるりと私を反転させた。
「玄関はこっち。歩いた歩いた」
「あ。はい」
歩きかけて、手を掴まれたままなのに気がついて立ち止まる。
「桐生さん?」
桐生さんはじっと私の指を見ていた。
口紅を拭いた指。そこにゆっくりと唇を寄せるから瞬きして固まる。
桐生さんは指先にキスをして、少し悪戯っぽく笑ってから視線を上げた。
ゆっくりと目が合って、気を取り直したように背中を押してくる。
「さ。行こうか」
だから! 何でこの人は平然とこういうことをするんだ!?
「慌ててる君は判りやすくていいね」
「私は良くないです!」
桐生さんは笑うだけで答えない。
軽い言い争いをしながら車に乗って、走らせること一時間弱。
「着いたよ」
助手席を開けてもらって目を丸くした。
色が落ち始めた木々の中に、そびえ立つような洋館。
そこがルイ氏のセカンドハウスらしかった。
桐生さんは自分の手指を眺めて首を傾げた。
「母親似かな? 親父のはごつい。昔は嫌いだったよ。女の人みたいな手でしょ?」
私の手と合わせて微笑む。
大人と子供みたいに大きさが違う。女の人……と言うより、れっきとした男の人の手だと思うんだけど。
「小人ちゃんは小さいから」
「小人ちゃんって言わないで下さい!」
「今まで怒らなかったじゃん?」
「言わなかっただけです」
「あ。そう?」
桐生さんはそう言うと、合わせた手を組み替えてくるりと私を反転させた。
「玄関はこっち。歩いた歩いた」
「あ。はい」
歩きかけて、手を掴まれたままなのに気がついて立ち止まる。
「桐生さん?」
桐生さんはじっと私の指を見ていた。
口紅を拭いた指。そこにゆっくりと唇を寄せるから瞬きして固まる。
桐生さんは指先にキスをして、少し悪戯っぽく笑ってから視線を上げた。
ゆっくりと目が合って、気を取り直したように背中を押してくる。
「さ。行こうか」
だから! 何でこの人は平然とこういうことをするんだ!?
「慌ててる君は判りやすくていいね」
「私は良くないです!」
桐生さんは笑うだけで答えない。
軽い言い争いをしながら車に乗って、走らせること一時間弱。
「着いたよ」
助手席を開けてもらって目を丸くした。
色が落ち始めた木々の中に、そびえ立つような洋館。
そこがルイ氏のセカンドハウスらしかった。