雪降る夜に教えてよ。

早朝

*****


とてもスッキリ目覚めた土曜日。

別に、土曜日に早起きする必要はないと思うし、どちらかって言うと、いつもはゆっくり起きる方だけれど。

普段と違うと何故か早起きしてしまう。

ソファで眠る桐生さんを眺めて微笑んだ。

よくよく考えてみれば、お盆休みで行ったコテージで一緒の部屋を使ったのだから、あんなに慌てる必要もなかったのにな。

だけど、あの時よりも私は確実に歩んでいて、あの時よりもこの人が好きで。

ちょっと、違う気分だったのは確か。

スーツのままで寝ちゃってるよ。

肩から外れたブランケットをかけ直し、コーヒーメーカーをセットする。

朝ごはん。どうしようか。

確か、桐生さんは食べたはず。

出来るだけ静かにお米をといでご飯をセット。冷蔵庫を眺めて、朝ごはんの献立を思案する。

「おはよう」

冷蔵庫から顔を上げて、起きぬけの桐生さんと顔を合わせた。

「おはようございます」

「熱は? 見た感じ下がったのか?」

「気分はスッキリって感じです」

それから、テーブルに散らばったノートパソコンを眺める。

「お仕事をされていたんですか?」

「や。ネットで遊んでただけ」

卵を割って、ボウルの中で解きほぐしながら眉を上げた。

「気にしないでテレビつければ良かったんですよ。私は一度眠るとあまり起きませんから」

「んー……今度の時まで覚えておく」

「今度っていつですか?」

「さぁ。神のみぞ知る。洗面所借りるな」

ぼんやりしながら洗面所に向かう桐生さんに小さく笑った。
それから冷蔵庫にあるもので適当に朝ごはんを作って、和やかな雰囲気の中で朝食にする。

途中、何かに気付いたように桐生さんが小首を傾げた。

「どうかしたんですか?」

「や。静かだなと思って」

不思議そうにベランダの方を見る。

「たぶん、少し雪が積もったんじゃないですか?」

「判るもの?」

「雪国育ちだと言いませんでしたか?」
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