雪降る夜に教えてよ。
「その通りだったかも知れないじゃない?」

「それならなんで、その学生は裸で彼のベッドで恥ずかしそうに顔を伏せていて、彼はバスローブなのぅ!」

そりゃディープだ。

「……踏み込んだの?」

「もちろん踏み込みましたともぉ!」

いろんな意味でご愁傷様。

佳奈に言えばいいのか、踏み込まれた佳奈の元カレに言っていいのか、少しだけ悩むところだけれど。

「今日は飲むわよぅ!」

そう言って、佳奈はビールを一気飲みする。ま、この子は強いんだけどね。

「そして、また、新しい男を見つけるんだぁ!!」

少しは挫折しようよ。そう次々と新しい人探そうとしないでさ?

「男の子なんて、彼一人じゃないんだからぁ!!」

ま、確かにね。佳奈は可愛いんだし、声をかけてくる男の人も多いだろうし。

「で、さなちゃんはいつになったら男が出来るのぉ!」

って、なんでそうなる!!

「おかしいじゃない。さなちゃん綺麗だし、優しいのに、恋人がいないなんてぇ」

「や。おかしくないし。特にいらないし!」

「まず、伊達眼鏡がいけない! 髪もおろしてさ、化粧もバッチリしてさぁ!」

と言っている間に、頭のクリップを外される。

「あー。あんたはなんて事してくれるのよ」

「いいじゃない! そんなサラサラストレートは滅多にないんだよぉ!」

佳奈はゆるいウェーブの天然パーマ。佳奈の幼くて可愛らしい顔には、とっても似合っていると思うんだけどな。

「どうせ私はサラサラストレートじゃないよ! 綺麗な髪だったからって、許せない~!!」

あー……元カレの浮気相手の子がストレートでしたか。

「佳奈には佳奈らしい、いい所があるんだから気にする事はないわ。縁がなかっただけの話よ」

「さなちゃん! いいこと言うね! よーし、飲むぞう!!」

いや、この感じからすると、ほどほどにしておいて欲しいけど、やっぱりつぶした方が早いかな。

でも結局、その後も居酒屋を梯子して、さすがの佳奈もフラフラになっていた。

「佳奈ちゃ~ん。私、ラーメン食べたい! 大将のとこ行こうね~」

時計を見るとすでに1時近く。まだ開いているとは思うけどね。

「っらしゃ~……ありゃ……」

大将は元気よく挨拶をしかけ、私の顔と、佳奈の状態に眉を八の字にする。

「昨日の今日で……」

「本当ですね! この子に味噌ラーメンで、私には清酒を下さい」

「さなちゃんは大丈夫なのかい?」
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