雪降る夜に教えてよ。
「桐生さんが怒る理由がないでしょう」
「だって、人前であんな熱烈なのしてくる人だよぉ?」
「ブッ‼ ごほっ!」
ちょうど食べていたテリーヌを詰まらせて、咳込んだ。
「さなちゃん。大丈夫ぅ?」
あー……。びっくりした。
「や。ほら、桐生さんは外国暮らし長いみたいだし、ああいう事も、ほら。挨拶みたいなもの?」
佳奈は腕を組んで顔をしかめる。
「それ。さなちゃんは桐生さんの前でも言えますかぁ?」
今の“挨拶でしょう、どうせ”的なことを?
「そんな恐ろしい……」
夏樹さんは後ろで頷いている。
言えないよね~。どんな仕返しが返ってくるか解らない。そういうところが桐生さんにはあった。
これは一緒に働いている人間じゃないと解らないかも知れないけど、仕事に関しては、時々物凄く冷酷なところがある。
女性に対してはやっぱり優しいけれど、仕事を任す人にはけっこう容赦ない。
私もビシバシ怒られています。
ある意味では嬉しいことだけれど、あの端正な顔が怒ったら、正直言って恐いんです。
ただ、やっぱりイキナリふざけてもくるので、未だに訳わからん人リストナンバーワンだけど。
「まぁ、いいとして。どこの温泉に行くの?」
「うん。長野の方にまず行って~」
話が変わったことにも気付かない佳奈の様子に、夏樹さんは私に向かって拍手をしている。
夏樹さん。佳奈相手にこれくらいの話題転換できなきゃ大変だぞう。
ビンゴ大会で佳奈は大きなヌイグルミを当て、私は何故かカーナビが当たり、夏樹さんは参加賞のペットボトルのお茶。
このビンゴ、参加者は全員当たるから嬉しいけど……。
「カーナビ……」
「ヌイグルミ……」
私と佳奈はまた今年も実用的ではないものが当たった。
「旅行に行くのにー、同乗者が出来ちゃったねぇ」
佳奈はまだいいと思う。確かに旅行に行くのに車にそんなでっかいぬいぐるみはファンタジーだけど。
「まだいいじゃない。私……車ないんですけど」
「売れ。売っちまえ」
夏樹さんのどこか投げやりな言葉に頷きかけて、急に影が現れたのに気がついた。
「売るんだったら、俺のと交換」
「だって、人前であんな熱烈なのしてくる人だよぉ?」
「ブッ‼ ごほっ!」
ちょうど食べていたテリーヌを詰まらせて、咳込んだ。
「さなちゃん。大丈夫ぅ?」
あー……。びっくりした。
「や。ほら、桐生さんは外国暮らし長いみたいだし、ああいう事も、ほら。挨拶みたいなもの?」
佳奈は腕を組んで顔をしかめる。
「それ。さなちゃんは桐生さんの前でも言えますかぁ?」
今の“挨拶でしょう、どうせ”的なことを?
「そんな恐ろしい……」
夏樹さんは後ろで頷いている。
言えないよね~。どんな仕返しが返ってくるか解らない。そういうところが桐生さんにはあった。
これは一緒に働いている人間じゃないと解らないかも知れないけど、仕事に関しては、時々物凄く冷酷なところがある。
女性に対してはやっぱり優しいけれど、仕事を任す人にはけっこう容赦ない。
私もビシバシ怒られています。
ある意味では嬉しいことだけれど、あの端正な顔が怒ったら、正直言って恐いんです。
ただ、やっぱりイキナリふざけてもくるので、未だに訳わからん人リストナンバーワンだけど。
「まぁ、いいとして。どこの温泉に行くの?」
「うん。長野の方にまず行って~」
話が変わったことにも気付かない佳奈の様子に、夏樹さんは私に向かって拍手をしている。
夏樹さん。佳奈相手にこれくらいの話題転換できなきゃ大変だぞう。
ビンゴ大会で佳奈は大きなヌイグルミを当て、私は何故かカーナビが当たり、夏樹さんは参加賞のペットボトルのお茶。
このビンゴ、参加者は全員当たるから嬉しいけど……。
「カーナビ……」
「ヌイグルミ……」
私と佳奈はまた今年も実用的ではないものが当たった。
「旅行に行くのにー、同乗者が出来ちゃったねぇ」
佳奈はまだいいと思う。確かに旅行に行くのに車にそんなでっかいぬいぐるみはファンタジーだけど。
「まだいいじゃない。私……車ないんですけど」
「売れ。売っちまえ」
夏樹さんのどこか投げやりな言葉に頷きかけて、急に影が現れたのに気がついた。
「売るんだったら、俺のと交換」