雪降る夜に教えてよ。
「呆れますとも」
「いいじゃないか、プライベートくらい……」
ちょうどその時、私の目の前にスッと淡いピンクのカクテルと、透明なカクテルが置かれた。
「ようこそいらっしゃいました。お嬢様」
お、お嬢様!?
顔を上げると黒いスーツ姿の男の人が立っていて、ニッコリと微笑みかけてくれた。制服でもないし、何者?
「なんで、お前がここにいるんだよ」
桐生さんの言葉に、その人は片眉を上げてそちらを向く。桐生さんと同じ癖だ。
「イヴ前日に、自分の店を見て回って何が悪い」
知り合い? ちらっと見ると、桐生さんはしかめていた顔を笑顔に戻して頷いた。
「従兄弟。ここのオーナーで裕」
「はじめまして、一条裕と申します」
そう言って、裕さんは、優雅に一礼する。これはこれはご丁寧に。
「はじめまして、秋元と申します」
ちょこん、と頭を下げると、何故か裕さんは面白そうな顔をしてみせた。
「隆幸の恋人……にしては、ちょっと他人行儀な気がするけど」
「一時的な部下です」
力強く低い声で呟くと、裕さんは瞬きして、桐生さんは笑い声をあげた。
「や。全く気にすることはないよ。裕はもの珍しくてからかっているだけだから」
物珍しくて見ず知らずの人間をからかうって、あなたの親族はどういう趣味しているんですか。
「秋元さんは、隆幸には興味がないのかな?」
裕さんは不思議そうに首を傾げている。
「あの、桐生さん」
「はい?」
手で口元を隠し顔を近づける私に、桐生さんは耳を貸してくれる。
「ご親戚の方は、いつもこうなんですか?」
「や。違うよ。でもそうだなぁ、俺が裕の店に女性同伴っていうのが珍しいからかな?」
へぇ……それは、どういう意味にとらえればいいんだろう。
とにかく、従弟が女性をお店に連れてきたからからかってやろうと思うのは、ちょっと悪趣味だと思う。
「なんだか、ちょっと憂鬱な人生観をお持ちのようですね」
その言葉に桐生さんは吹き出し、裕さんは今度こそポカンとして私を眺めていた。
「ちょっと変わったお嬢さんだな? お前の彼女は」
「ですから。彼女じゃないです。部下です」
きっぱり言い切ったた言葉に、桐生さんは軽く私を睨んでくる。
「お前……その言葉、覚えてろ?」
や。ちょっと忘れようかな~と思います。
「いいじゃないか、プライベートくらい……」
ちょうどその時、私の目の前にスッと淡いピンクのカクテルと、透明なカクテルが置かれた。
「ようこそいらっしゃいました。お嬢様」
お、お嬢様!?
顔を上げると黒いスーツ姿の男の人が立っていて、ニッコリと微笑みかけてくれた。制服でもないし、何者?
「なんで、お前がここにいるんだよ」
桐生さんの言葉に、その人は片眉を上げてそちらを向く。桐生さんと同じ癖だ。
「イヴ前日に、自分の店を見て回って何が悪い」
知り合い? ちらっと見ると、桐生さんはしかめていた顔を笑顔に戻して頷いた。
「従兄弟。ここのオーナーで裕」
「はじめまして、一条裕と申します」
そう言って、裕さんは、優雅に一礼する。これはこれはご丁寧に。
「はじめまして、秋元と申します」
ちょこん、と頭を下げると、何故か裕さんは面白そうな顔をしてみせた。
「隆幸の恋人……にしては、ちょっと他人行儀な気がするけど」
「一時的な部下です」
力強く低い声で呟くと、裕さんは瞬きして、桐生さんは笑い声をあげた。
「や。全く気にすることはないよ。裕はもの珍しくてからかっているだけだから」
物珍しくて見ず知らずの人間をからかうって、あなたの親族はどういう趣味しているんですか。
「秋元さんは、隆幸には興味がないのかな?」
裕さんは不思議そうに首を傾げている。
「あの、桐生さん」
「はい?」
手で口元を隠し顔を近づける私に、桐生さんは耳を貸してくれる。
「ご親戚の方は、いつもこうなんですか?」
「や。違うよ。でもそうだなぁ、俺が裕の店に女性同伴っていうのが珍しいからかな?」
へぇ……それは、どういう意味にとらえればいいんだろう。
とにかく、従弟が女性をお店に連れてきたからからかってやろうと思うのは、ちょっと悪趣味だと思う。
「なんだか、ちょっと憂鬱な人生観をお持ちのようですね」
その言葉に桐生さんは吹き出し、裕さんは今度こそポカンとして私を眺めていた。
「ちょっと変わったお嬢さんだな? お前の彼女は」
「ですから。彼女じゃないです。部下です」
きっぱり言い切ったた言葉に、桐生さんは軽く私を睨んでくる。
「お前……その言葉、覚えてろ?」
や。ちょっと忘れようかな~と思います。