雪降る夜に教えてよ。
「別に……いいよ」
あんなとことで、そんな事をしてしまっていたこっちにも問題はあるわけなんだし。
「私も、あんなとこで、年越しのチュウしてると思ってなくて。だって、長すぎるし」
まな板を割る勢いで包丁を叩き付けた。
「あんたはあっちに行って座ってなさい」
佳奈は私の手元の包丁を眺め、無言で引き下がる。
ベ、別に、ずっとキスしていた訳じゃないもの。お話とかしてたもの。
「葱蕎麦にするの?」
猛然と葱を刻んでいたら、急に桐生さんの声が聞こえて手元が狂った。
「つっ……!」
桐生さんは慌てて私から包丁を取り上げ、切った指を掴む。
「ああ。ちょっと落ち着けよ」
そう言って、指を口に入れてしまい、目を丸くして固まって動けなくなった私に、ニヤッと笑いかける。
「バンドエイドは?」
私の視線の先から救急箱を取り、無言で手当してくれた。
「で、蕎麦は?」
と、蕎麦の入った袋を見つけて、鍋に水を入れる。
「あのぅ」
「怪我人は黙ってなさい」
……いや。でもさ。
「おつゆは温めてありますから……具は冷蔵庫に」
桐生さんは、おつゆの入った鍋の蓋を開けて、中のザルを上げる。
「昆布と鰹でダシって……。手がこんでるな~」
「お蕎麦はダシが命です」
桐生さんは苦笑して、テキパキと蕎麦を茹で上げ、洗い始めた。
そういえば自炊してるって言ってたものね。何とも手際がいいというか。
「そういえば、イキナリ仕事の話なんだけど」
「はい?」
本当にイキナリですね。
「いつ言おうかな~と思ってたんだけど、今、落ち着いてないみたいだし」
落ち着いていないから言い始めるの? 普通、落ち着いてからそういう事は言うものじゃないのかな?
「今年から、俺の正式な部下ね?」
はぁ? 正式な部下?
「けっこう前から、シス管をブース分けしようって話になっていてね。補佐としてSEの方から夏樹を引っ張るつもりだったんだけど」
あんなとことで、そんな事をしてしまっていたこっちにも問題はあるわけなんだし。
「私も、あんなとこで、年越しのチュウしてると思ってなくて。だって、長すぎるし」
まな板を割る勢いで包丁を叩き付けた。
「あんたはあっちに行って座ってなさい」
佳奈は私の手元の包丁を眺め、無言で引き下がる。
ベ、別に、ずっとキスしていた訳じゃないもの。お話とかしてたもの。
「葱蕎麦にするの?」
猛然と葱を刻んでいたら、急に桐生さんの声が聞こえて手元が狂った。
「つっ……!」
桐生さんは慌てて私から包丁を取り上げ、切った指を掴む。
「ああ。ちょっと落ち着けよ」
そう言って、指を口に入れてしまい、目を丸くして固まって動けなくなった私に、ニヤッと笑いかける。
「バンドエイドは?」
私の視線の先から救急箱を取り、無言で手当してくれた。
「で、蕎麦は?」
と、蕎麦の入った袋を見つけて、鍋に水を入れる。
「あのぅ」
「怪我人は黙ってなさい」
……いや。でもさ。
「おつゆは温めてありますから……具は冷蔵庫に」
桐生さんは、おつゆの入った鍋の蓋を開けて、中のザルを上げる。
「昆布と鰹でダシって……。手がこんでるな~」
「お蕎麦はダシが命です」
桐生さんは苦笑して、テキパキと蕎麦を茹で上げ、洗い始めた。
そういえば自炊してるって言ってたものね。何とも手際がいいというか。
「そういえば、イキナリ仕事の話なんだけど」
「はい?」
本当にイキナリですね。
「いつ言おうかな~と思ってたんだけど、今、落ち着いてないみたいだし」
落ち着いていないから言い始めるの? 普通、落ち着いてからそういう事は言うものじゃないのかな?
「今年から、俺の正式な部下ね?」
はぁ? 正式な部下?
「けっこう前から、シス管をブース分けしようって話になっていてね。補佐としてSEの方から夏樹を引っ張るつもりだったんだけど」