雪降る夜に教えてよ。
「はい」

「夏樹は自分のプロジェクト持ってるから無理になって」

「はぁ……」

聞いている情報が、頭の中で横滑りしていく。

「で、上がどうせ補佐だから、ヘルプデスクから選べって言ってきてね。で、俺も補佐なら、仕事出来る人の方がいいし、勝手に君たちシステムヘルプデスクを調べてたんだけどね」

「えぇ?」

「特に直接関係ない俺が、君らの仕事内容とか件数とか、チェック入れいてたの、不思議じゃなかった?」

そう、言われれば……。

「でも、私じゃなくても」

「そう。俺も出来れば君は選びたくなかった」

はあぁ!? 言っていること結構むちゃくちゃなんですけど!?

「やっぱり手を出しちゃったし」

桐生さんはあっさり言って、ちらっと舌を出した。

「だってねぇ。早良さんは仕事できるけど主婦らしく手を抜いてるし。棚橋さんじゃ未熟だし? 君は適任なんだ。腕時計だったし」

腕時計? 腕時計がなんだと言うんだろ。

「仕事中にスマホを時計がわりにする人が多くてね。うちは社外秘どころか社内秘も扱うから、それじゃ困る」

なるほどっ! って、ブース内に入るときにはみんなスマホはロッカーに置いてあるはずですけど?

「後は……土橋さんたちみたいに、俺の仕事を邪魔しないこと。君はすっごく見事に一蹴してくれてたけどね」

一蹴したつもりはないけれど、したことになるの?

「ま、仕事じゃ上司ってことで。プライベートはガンガン行くから」

が、ガンガンですか。

桐生さんは、4人前のお蕎麦を作り上げて振り返った。

「仕事の話で少しは落ち着いた?」

いいえ。貴方のその感電スマイルはまったく落ち着けません~‼










第二章へ続く
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