雪降る夜に教えてよ。
え? 今なんて?
去っていく社長の後ろ姿を眺めていると、掴んだままだった私の手を、桐生さんはキュっと軽く握りなおす。
「もっと上手く立ち回れ、だってさ?」
それは、桐生さんのプライベートモードな発言で、思わず目を白黒させた。
そして、促されるままに帰り支度をして、地下の駐車場に向かうと、何故か佳奈が夏樹くんと一緒に車で待っていた。
「さなちゃん~!」
大泣きしている佳奈に懐かれて、桐生さんを見ると、ちょっと失敗かな? という風に苦笑していた。
それから佳奈が用意してくれた服に着替えると、皆でご飯を食べに行くことになり、やっぱり焼鳥でしょう? と言う佳奈の一言で、近場の焼鳥専門店に入った。
ちょっと口を切っちゃっているから傷口にタレがしみたけれど、皆で焼鳥の味付け談議をしながら、佳奈はいつもの様に酔っ払い、私は桐生さんの車で送られてマンションに着いていた。
***
「あのぅ」
いつも通り助手席を開けてくれている桐生さんに向かって私が呟くと、桐生さんは小首を傾げ、無言で微笑む。
「ここで十分程待っていてもらえますか?」
きょとんとした視線が返って来た。
「ここで?」
「はい。ちょっと用意してきますんで」
「用意? 一体なんの?」
ますます“どうしたんだ?”という表情に、人差し指を立てた。
「一緒にドライブしましょう」
桐生さんは珍しく一瞬言葉に詰まって、それから訝しげな顔をする。
「眠いですか?」
「いいや。でも──……」
「じゃ、いいじゃないですか。待っていて下さい」
去っていく社長の後ろ姿を眺めていると、掴んだままだった私の手を、桐生さんはキュっと軽く握りなおす。
「もっと上手く立ち回れ、だってさ?」
それは、桐生さんのプライベートモードな発言で、思わず目を白黒させた。
そして、促されるままに帰り支度をして、地下の駐車場に向かうと、何故か佳奈が夏樹くんと一緒に車で待っていた。
「さなちゃん~!」
大泣きしている佳奈に懐かれて、桐生さんを見ると、ちょっと失敗かな? という風に苦笑していた。
それから佳奈が用意してくれた服に着替えると、皆でご飯を食べに行くことになり、やっぱり焼鳥でしょう? と言う佳奈の一言で、近場の焼鳥専門店に入った。
ちょっと口を切っちゃっているから傷口にタレがしみたけれど、皆で焼鳥の味付け談議をしながら、佳奈はいつもの様に酔っ払い、私は桐生さんの車で送られてマンションに着いていた。
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「あのぅ」
いつも通り助手席を開けてくれている桐生さんに向かって私が呟くと、桐生さんは小首を傾げ、無言で微笑む。
「ここで十分程待っていてもらえますか?」
きょとんとした視線が返って来た。
「ここで?」
「はい。ちょっと用意してきますんで」
「用意? 一体なんの?」
ますます“どうしたんだ?”という表情に、人差し指を立てた。
「一緒にドライブしましょう」
桐生さんは珍しく一瞬言葉に詰まって、それから訝しげな顔をする。
「眠いですか?」
「いいや。でも──……」
「じゃ、いいじゃないですか。待っていて下さい」