雪降る夜に教えてよ。
「からかって悪かった。ごめんって」

「別に怒ってませんよ」

「や。ハッキリ怒ってるでしょ」

照れくさいだけです。
それをどう表現していいか、わからない感じなんです。

てか、それは察してください。それよりも悟れ!

「困った子だね」

「私は子供じゃありません!」

「女扱いしたら逃げるくせに」

冷たく言われて身を小さくした。

ま、まぁ、確かに。

「桐生さん」

「はい?」

「私たちはすでにお付き合いをしてるんでしょうか」

呟かれた疑問に、とても難しい表情を返される。

そう。実際そこも問題なんだと思うんだよね。

「それは難しい問題だね」

「何故、桐生さんは私に……その、何て言うか……」

「キスするのかって?」

フォークを置いて桐生さんを見た。

「付き合っているならともかく、ああいうキスって、付き合っていなくてもするものなんですか?」

桐生さんは少し天井を見てから腕を組む。とても難しい顔をしている。

「やー……。さすがにあの感じはあまりしないかなと思うよ?」

「じゃあ……」

言いかけた私を、桐生さんは片手を上げて制止させた。

「ますは基本的な話をしよう」

桐生さんは煙草に火を付けたけれど、それをそのまま灰皿に置く。

「好きな女性ができたら、触れ合いたいと思うのが男としては普通」

世間一般的には普通だ。それは何となく私にもわかる。

「俺はちゃんと君に好きだと言ったぞ。返事をくれてないのは君だ。そして俺も急かしたりはしたくない」

「……はい」

「俺は特に暴力的ではないと思うし、無理強いも主義に反する。だけど、やっぱり好きな女には触れたいものなんだ。だからキスする」

ど、堂々と言い切りましたね。

「君はキスは抵抗しないが、まだ先に進める状態じゃないのは、俺にも解る」

先……先って……あのぅ……。

それはあれだよね!

もちろん青少年諸君には目に毒で、大人なお付き合いしている人なら大体は通る道で、もちろんないわけはないアレだよね!
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