雪降る夜に教えてよ。
「ほらね? ものすごい動揺してるし」
動揺。動揺しますよ。
「落ち着けよ。俺はそういうところも好きだって言ったでしょ」
優しく言われて、ゆっくりと目を合わせると、見えたのは優しさと、少し寂しいような微かな微笑み。
そんな顔をしてほしいんじゃない。違うと思う。
同時に、どこかホッとした自分がいて……。
フォークを持ち直し、グサリと目の前のパインを突き刺した。
「えっ? どうしたいきなり」
フォークのパインを差し出す私に桐生さんは目を丸くしている。
「えーと……」
困ったように戸惑っているのは私にも解る。いつもの私の行動ではないし。
「私のペースで本当にいいんですか?」
問うと、どこか安心したような笑顔が返ってきた。
「もちろん」
なら……今度こそ私はちゃんと答えよう。この人の想いに、きちんと向き合いたい。
「じゃ、食べてください」
小さく呟いた言葉に、桐生さんは少し笑って小さく首を傾げた。
「お母さん?」
「あなた、何も食べてないでしょう?」
「まぁ、そうだね」
「なら食べてください」
ちょっとドキドキしながら、次の言葉を口にする。
「恋人が食べないんじゃ、私だって、心配するじゃない、ですか」
桐生さんは少し瞬きを繰り返し、それからフワッと微笑んだ。
「じゃ、もらおうかな」
パインの切れ端が、ゆっくりと桐生さんの唇に消える。
なんだか、とてもそれがエロティックに見えてドキドキしてしまう。
「甘いね」
微笑みながら囁かれた言葉に、私もつられるように微笑んだ。
第二章 完 第三章へ続く
動揺。動揺しますよ。
「落ち着けよ。俺はそういうところも好きだって言ったでしょ」
優しく言われて、ゆっくりと目を合わせると、見えたのは優しさと、少し寂しいような微かな微笑み。
そんな顔をしてほしいんじゃない。違うと思う。
同時に、どこかホッとした自分がいて……。
フォークを持ち直し、グサリと目の前のパインを突き刺した。
「えっ? どうしたいきなり」
フォークのパインを差し出す私に桐生さんは目を丸くしている。
「えーと……」
困ったように戸惑っているのは私にも解る。いつもの私の行動ではないし。
「私のペースで本当にいいんですか?」
問うと、どこか安心したような笑顔が返ってきた。
「もちろん」
なら……今度こそ私はちゃんと答えよう。この人の想いに、きちんと向き合いたい。
「じゃ、食べてください」
小さく呟いた言葉に、桐生さんは少し笑って小さく首を傾げた。
「お母さん?」
「あなた、何も食べてないでしょう?」
「まぁ、そうだね」
「なら食べてください」
ちょっとドキドキしながら、次の言葉を口にする。
「恋人が食べないんじゃ、私だって、心配するじゃない、ですか」
桐生さんは少し瞬きを繰り返し、それからフワッと微笑んだ。
「じゃ、もらおうかな」
パインの切れ端が、ゆっくりと桐生さんの唇に消える。
なんだか、とてもそれがエロティックに見えてドキドキしてしまう。
「甘いね」
微笑みながら囁かれた言葉に、私もつられるように微笑んだ。
第二章 完 第三章へ続く