神様、どうか。
「私、彼と別れて腐ってるときに父から無理やりお見合いさせられたんです。」
まだバックから出したままでいる、ドレスと同じ綺麗な赤のお財布に目を落としながら話し出した絢香さん。
バラのレリーフが素敵なその財布も、きっとお高いんだろうな。
「相手の写真もロクに見てなかったから、どうせハゲたおじさんだろうなって勝手に思い込んで行ったら東堂さんが座ってて。私、一瞬腰抜かしそうになりました。」
ハゲたおじさん…。
でもまあ、そう思って行ったんならさぞかしギャップに驚いただろうな。
「話聞いてたら、東堂家具店の社長さんでしょ?
おまけに顔も良くて、お金持ち。
ラッキーなんて思ってた矢先に彼女がいるからって断られて。
それで、すっごくムカつきました。」