神様、どうか。

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「じゃあ、東堂さん、間宮さんお気をつけて。」

「ああ、二人も楽しんで。」


にこにこと愛想のいい笑顔を浮かべる相川さんと、少し顔を赤らめた絢香さんに見送られながらホテルを後にする。


二人は、今夜このホテルに泊まるらしい。


いいな、セレブって。彼らもまた、私とは住む世界の違う殿上人だ。


四人でフルコースを堪能したあとレストランを出たけど、社長も相川さんも会計はしなかった。


きっと、女性陣が席を立っている隙に済ませたんだろうな。


今回は私と社長への謝罪という名目での食事会だったが、社長にお礼を言っている相川さんをうっかり見てしまった。


社長が支払ったのかもな。


まあ、年齢的にも立場的にも妥当だろうけど。


そういうのを表に一切出さないところが、なんだかスマートで格好いいな。


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