神様、どうか。
ホテルを出ると夜風が予想以上に冷たくて、マフラーのように首に巻きつけていたストールに顔を埋めた。
今夜も冷える。
きっと、アパートの部屋も冷え切ってるだろうな。
あ、まだ灯油あったかな?
いや、この前太一君に車出してもらって買った分がまだ1缶あったはずだ。
「冷えるな。」
突然頭上から降ってきた声に顔を上げると、社長も私と同じようにマフラーに顔を埋めていた。
ああ、鼻と耳が赤くなってる。
「今夜も付き合わせて悪かった。」
「いえ、そんな。」
高級レストラン奢って貰ったので、むしろ感謝してますよ。
そんなことを心の中で考えていたら、ふいに社長と目が合う。
「もう一杯、付き合ってくれないか?」
「え?」