神様、どうか。
このドキドキを消したくて、グラスから口を離した社長に話しかける。
「社長って、こういうガヤガヤしたお店くるんですね。」
「嫌いか?」
「いえ、私は好きですけど。なんだか社長のイメージではないです。」
もう一度周りを見回すと、本当におじさんばっかり。
若干、社長のおしゃれなスリーピースと私のワンピースが浮いてる気さえもする。
「君は俺をどういう人間だと思ってるんだ?」
「殿上人?」
「は?」
あ、間違えた。つい、常々思ってることがそのまま出てしまった。
「さっき連れて行ってもらったような、高級レストランでいつも食事されてるのかなって。」
「確かに仕事上、そういう高級店にも行くが俺はこういう店の方が好きだ。」