神様、どうか。
「社長…。」
突然の出来事に驚いて後ろを振り返ると、車から降りてきた社長が肩を揺らして笑ってる。
冷え切っていた体が、雨が蒸発するんじゃと思うくらいの熱を一気に取り戻した。
心臓が痛いくらいに高鳴っている。
びしょ濡れのところを笑われて、本当は腹を立てないといけない場面のはずなのに。
久しぶりに社長の顔を見れて、すごく嬉しい気分になってしまう自分がいる。
「それにしても、すごい濡れようだな。着替えはあるのか?」
「あ、はい。更衣室に置いてあります。」
社長は笑うのをやめ、少し心配そうに聞いてくれた。
「よかった。それと、悪いがこれから社長室にこれないか?渡すものがあるんだ。」
「…渡す、もの?」