神様、どうか。
「これくらいじゃあ、君のその力に敵うかは分からんが、ないよりマシだろう。
色々と迷惑かけたし、お礼だ。」
「そんな…。この前もご馳走していただいたのに。」
驚いて顔を上げると、社長は軽く眉を寄せて私をまっすぐ見つめていた。
「要らないのか?」
「要ります…。」
やっと声を絞り出して応えると、お札を握りしめた。
要らないわけがない。
「良かった。捨てるなよ?」
社長はそう言うと、再び書類へと目を落とした。
私は、痛い心臓を抑えながら、社長にきちんとお礼をして社長室を後にする。
ばたん。
社長室の扉が閉まると同時に扉にもたれかかった。