神様、どうか。
「なにも、ないですけど。」
悲しいことにこれは事実。
「一部の女子社員が噂してんぞ。」
「は?!」
予想していなかった言葉に、思わず大きな声が出てしまい、周りのサラリーマンの視線を集めてしまった気がするけど、今はそれどころじゃない。
噂ってなに?全然知らないんだけど。
「お前が社長室から出てくるのを見たとか、親しそうに話してるの見たとか。」
社長は目立つ存在だからな、と冷静にお冷やを飲む赤木さんとは裏腹に、私がお冷やを持つ手は若干震えている。
心当たりがあり過ぎる。
「見間違いですよ。私と社長に接点なんてあると思います?
私に似た女子社員でもいるんじゃないですか?」
またしても苦しい言い訳だ。声も裏返ってるし。