神様、どうか。


「分かってるんです。釣り合うわけないって。」


それは、この想いを認めたかった一番の理由。

私と社長では、地位も家柄も何もかも違う。


社長はピッカピカの高級車に乗っているような人間で、私は隙間風が吹くようなアパートに住む人間。

釣り合うわけがない。


「そんなことねえだろ。あの人、根は田舎もんだぞ。」

「赤木さんも知ってるんですね。」


意外だ。私が知らなかっただけで、この話は有名なのか?


「ウィキペディアに載ってるぞ。」

「え、嘘?!」

「嘘。」


嘘なの?!


「それより、そろそろ出るぞ。」


そう言ってテーブルの上にあった爪楊枝を一本拝借しながら席を立った赤木さん。


今のなんだったんだろう。
なんだか、はぐらかされた気がする。


気になって気になって仕方がなかったけどお店を出ると、話は仕事のことへと変わっていてそれ以上は聞けずに会社に着いてしまった。


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