神様、どうか。
その週の金曜日の定時後、赤木さんに思いがけないお願いをされた。
「休日出勤、ですか?」
「ああ、少し手伝ってもらいたい仕事があるんだ。」
「今夜じゃダメですか?」
お願いとは、明日仕事を手伝ってくれ、というものだ。
今日は金曜日。明日となると、土曜日だ。なるべく休日出勤は避けたい。
「今夜は接待が入ってるんだ。出来れば明日がいい。予定があるか?」
明日は夏子と会う約束がある。でも仕事が優先だよね。
分かってはいるけど、やっぱり気が重い。
「大丈夫です。」
「悪いな。」
そう言うと颯爽と課を後にした赤木さんの背中を見ながら、思わずため息をつく。
明日は夏子に社長とのことを相談しようと思ってたのにな。
忙しい時期には休日出勤になることもある。けど、今はそこまで忙しくないはずなのに。
若干腑に落ちないけど、決まったことは仕方がない。
よし、明日まで頑張りますか。