神様、どうか。
「良かったら、この間頂いた厄除けのお札のお礼にご馳走させて下さい。」
間宮 幸子、ここ数年で一番勇気を出しました。
昔、元彼の浮気現場に突入したときよりも勇気を出した気がする。
飛び出してしまいそうな心臓を左手で軽く抑えながら社長を伺うと、社長はふっ、と鼻で笑った。
「あれは、俺から君へのお礼のつもりだったんだが。お礼のお礼か?」
ああ、終わった。そうだよね、理由に無理がある。
もう大人しく帰ろう。帰って録画したドラマでも見よう。
下を向いて項垂れていると、突然、腕がグイッと引かれた。
「…えっ、ちょっと!」
気がつくと、いつの間にか着いていたエレベーターの中にいた。