神様、どうか。
「それとも、今すぐ飯にした方がいいか?」
「いや、そんなにお腹すいてないので!」
本当は、今すぐに夕飯でもいいくらいお腹空いてるけど。
お昼は赤木さんが買ってきてくれたサンドイッチを摘んだだけだったからお腹ぺこぺこだけど。
でも、そんなことより折角の社長とのドライブを断りたくない。
だから、腹の虫よ静まって。
そんな葛藤をしていると、社長が車を発進させた。
さすが高級車。エンジン音がすごく静かだ。
ラジオからは経済ニュースが流れている。
少しでもこの激しい動悸を鎮めようと、息を吸い込むと、白檀の香りが胸いっぱいに広がった。
優しく懐かしい香り。
すごく落ち着く、社長の匂いだ。