神様、どうか。


「最近はすっかり街のイルミネーションで冬やらを感じるようになってしまった。」


ああ、分かるな。私も同じだ。


「こうやってゆっくり空を見ていると田舎が恋しくなるよ。」

「長く行かれてないんですか?」

「ああ。前はよく帰ってたんだがな。
最近は、年賀状や中元のやりとりくらいで全然帰れてないな。」


丁度強い風が吹き、束ねていなかった髪の毛が自分の顔に張り付く。


ばあちゃん元気かな、とぽつりと言った社長の顔が見れなかった。


「君は実家にはよく帰るのか?」

「いや、最近は帰れてないですね。」


上京してから何年かはお盆とお正月には必ず帰っていたけど、こっちに友達が増えてからは、いつの間にか帰る頻度が落ちてしまった。


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