神様、どうか。


冷たい膝下をみると、見事にべっとりとソフトクリームがついていた。


ああ、今日下ろし立ての110デニールのタイツが!


社長、お札の効果があらわれてません。

祀るときに置いた和紙が悪いんだろうか。

ケチって100円ショップで買ってしまってごめんなさい。


「すみません!大丈夫ですか?」


半紙の方が良かったかな、と尻もちをついたまま馬鹿なことを考えていると、綺麗な女の人が手を差し伸べてくれた。


私を気にしながら、転んでしまった女の子をなだめているその人はどうやらお母さんのようだ。


取り敢えずその手を取って立ち上がり、バッグに入れていたウェットティッシュでアイスクリームを拭き取った。

< 169 / 284 >

この作品をシェア

pagetop