神様、どうか。


「桃!ごめんなさいは?」

「…ごめん、なさいっ。」


女の子は、目にいっぱい涙を溜めながら謝る。

愛くるしい。なんて、愛くるしいんだろう。


「お姉ちゃんもごめんね。
アイスクリームだめにしちゃったね。」


少しだけお姉ちゃんを強調。

誰がなんと言おうとまだお姉ちゃんで居たい。


「本当にすみませんでした。」

「いえ、私は大丈夫ですから頭を上げてください。」


深々と頭を下げるお母さんを慌てて制する。


むしろ私が悪いんです。

なんだろう、飲み物とか食べ物を引きつけ易い体質なんだろうか。


「これ、クリーニング代です。」



そう言って差し出されたのは、またも万札数枚。

この人も殿上人なの?

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