神様、どうか。


「ねえ、晃はどいう風に言ってた?」


「え、えーと、それまで社長候補だったお兄さんが違う道に進むことになったから俺が連れ戻された。
でも、お兄さんの夢を応援したかったから後悔はないって。自分はツイてるって言ってました。」


淡々と話す社長の表情を思い出しながら、拙い言葉でお姉さんに伝える。


「そんな殊勝なこと言ってたの?晃が?」


椿さんはそう言うと、あっはははと声を上げて笑い出した。


あんまり笑っているので、どうしたのかと戸惑っていると、


「当時はあの子、いきなり田舎から連れ戻されていきなり次期社長でしょう。
周りにはツイてるツイてるって言われてね。そう言われる度に、俺は実力で勝ち取ったんだ、運じゃねえって吠えてまくってたのよ。」


と、驚きの社長の過去。

え、この前はそんな感じじゃなかったのに。


「お兄ちゃんのおこぼれ貰ったみたいで嫌だったのね。」


優しい顔つきになったお姉さんは、ジンジャーエールにレモンを絞る。

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