神様、どうか。
何度ボタンを押しても反応しようとしてくれない自動販売機。
いつもではないけど、初めてではない。
時々あるんだよね。
でもやっぱりイライラしてしまい、毎回こりずに連打してしまう私は、今回も力任せに連打する。
もう、諦めるかと思ったその時、後ろから私よりもひと回り以上はでかいと思われる男らしい少し骨張った手がスッと伸びてきて、私の押していたボタンを押した。
「え?」
驚いている間に缶が落ちた。
でも缶を手にする前に、後ろを振り返る。
「しゃ、社長…!」
な、なんで。
そこにはもう会うはずはないと勝手に決め込んでいた社長の姿があった。