神様、どうか。
全力で会社まで走る。
こんなに急いで会社に行くのは初めてかもしれない。
何年か前に、寝坊して遅刻しかけたときよりも急いでる。
もし社長が会社に居なかったら、社長秘書の倉田さんをあたろう。
倉田さんの連絡先は知らないけど、秘書課には同期がいる。
それに倉田さんの奥さんは、元々うちの経理部に所属していて、夏子とも仲が良かったはずだ。
連絡先は、なんとか手に入る。
倉田さんが休日の社長の予定を知ってるかは分からないけど、今はやれることをやろう。
社長がとても大事にしてるおばあさんの緊急事態に、社長自身が駆けつけられないなんて。
そんなこと、あったらダメだ。
私が出来ることなんて、もしかしたらないかも知れないけど。
それでも何だっていいから、少しでもいいから力になりたい。
だって私、社長のことが好きだから。