神様、どうか。


会社に着くと、一目散に社長室へと急ぐ。

今日はエレベーターも空気を読んでくれ、社長室の前まで来ることができた。


いつもと変わらない社長室の扉。


お願い、ここに居てください。



ーーーバン



「おい、ノックくらい、って君か。
なんで君がこんなところにいるんだ?」


いつものようにデスクで書類に向かっていたらしい社長は、ゆっくりと顔を上げ、私の顔を認識すると少し眉を寄せた。


良かった。本当に、良かった。


安堵で力の抜ける足を必死で堪える。


「また休日出勤か?」


心配そうに眉間にしわを寄せる社長は、やっぱり椿さんからの電話に気付いてないようだ。

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