神様、どうか。


「…本当だ。姉貴から鬼のように電話がきてる。」


スマホを握りしめたまま、社長は頭を抱えて動かなくなってしまった。

着信に気づかなかったことを後悔しているのかもしれない。


けど、今そんな暇はない。


「社長、早くおばあさんの側に行ってあげて下さい。私、社長が準備している間にタクシー呼びますので。あっ、車で行かれます?」


「いや、車だとかなり時間がかかるんだ。新幹線で行くからタクシーを呼んで貰えると助かる。」


私が声をかけると、一時停止状態だった社長がやっと通常運転に戻り、テキパキと準備を始めた。


会社をでると、呼んでいたタクシーが会社前にしっかりつけてあり、私は社長に促されるまま一緒に乗ってしまった。


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