神様、どうか。

「泰子おばさん見つけたの私なんよ。」

「そうなのか。」

「うん。回覧板持って行ったら、おばさんが倒れてて。」

「そうか、ありがとう。助かったよ。」


二人の声が静かな廊下に響く。


社長の一歩後ろでやり取りを聞いていて、この奈々さんが社長の元カノである『奈々』さんなんだと確信する。


それほど二人のやり取りは自然で、なんとも言えない距離感を感じた。


「叔母さんと叔父さんは？」

「今、おばさんの入院の準備しに家に戻ってる。」

「姉貴は？」

「病室におるよ。」



ーーーガラガラ


居心地が悪く、どうすればいいかと模索していると病室の扉が開いた。


「あ、幸子ちゃん！」


勢いよく中から出てきた桃ちゃんが、私の足に飛びついた。