神様、どうか。
桃ちゃんの手を引いて、談話室へとゆっくり歩く。
桃ちゃんの手はとっても温かくて、なんだかガチガチに固まっていた心が溶けていくのを感じる。
おばあさんにとって、孫である椿さんと社長。椿さんの旦那さんとひ孫である桃ちゃん。
それに、ご近所さんであり発見者の奈々さん。
この中で私だけが異質の存在だ。
流されるまま来てしまったけど、本当に来て良かったんだろうか。
おばあさんにどんな顔をして会えばいいのか、どうやって自己紹介をしていいのか分からない。
そう思うと、桃ちゃんには本当に助かった。
「幸子ちゃん、ジュースあったよ!」
桃ちゃんは自動販売機を指差しながら、そっちに駆けて行ってしまう。
ああ、天使。癒される。
談話室の自動販売機でジュースを買おうとしたら、プリンがあったので桃ちゃんにはそれを買ってあげた。
さすが病院の自動販売機。
デザートやカップ麺などいろんなものが売ってある。
「幸子ちゃん。」
聞いたこたとがない男の人の声だ。