神様、どうか。


振り返ると、本当に見たことがない男性。

え、だれ?なんで私の名前を知ってるの?


「パパ!」


談話室のテーブルでプリンを食べていた桃ちゃんが、その男性をそう呼んだのでやっと気付いた。

椿さんの旦那さん、そして桃ちゃんのお父さんだ。


さっき、おばあさんの病室から椿さんと桃ちゃんと一緒に出て来ていた。


状況が状況だっただけにちゃんと見てなかったみたいだ。


「うわ、桃、幸子ちゃんにプリン買ってもらったの?ありがとう言った?」

「言ったよー!」


スプーン片手に自慢げにお父さんに主張する桃ちゃんがかわいすぎる。


「ごめんね、幸子ちゃん。お礼に。」


そう言うと、桃ちゃんパパは自販機にお金をいれた。

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