神様、どうか。
え、奈々さん、離婚したの?
唯一の安心材料だったものが崩れていく。
心臓が暴れだす。
それと同時に、背中に一筋の汗。
「良かったな。」
この声は社長。低くて響く、私の好きな声。
その声が、すごく優しくて。
安堵に満ちていて。
とうとう足が震え始めたとき、
「うち、まだ晃のことが好きや。やり直してくれん?」
と奈々さんがそう言った。
伺うような、不安そうな奈々さんの震える声が頭の中で木霊する。
神様、許してください。
ここから逃げ出す私を。