神様、どうか。


妹の車の窓から見える景色は、田んぼとビニールハウスが並ぶ田舎の風景。


今の時期の田んぼは、水も張ってない。

社長の田舎と同じ景色だ。


ここ数日考えないようにしていたことが、一気に溢れ出してくるような気がして窓から目を逸らした。


妹の若々しさで溢れる車内を見る。


バックミラーにシールが貼ってあったり、ハンドルカバーがパンダだったりとえらく可愛らしくしい車内。

なんというか、この子らしいな。


「あれ?この道通れない。なんで?」


急にブレーキを踏んだため、車体がガクンと揺れる。

見ると、通行止めの看板が立っていた。


「道路改良工事って書いてあるよ。」

「えー、聞いてないよ。」

「回覧板か町内放送で言ってたでしょ?」

「確認してないよ、そんなの。」


確認しなさいよ、ここに住んでるんだから。


相変わらず、自分の好きなこと意外には無頓着な妹にため息をつく。


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